nightingale
こんな小さな鳥籠じゃ
羽を開くこともできなくて
君はあの人の元へ飛んでいった

僕の目に映るのは
君の中のあの人と
あの人には見えない君
そして真っ白な天井の
その上にある 限りない空

青い翼のあの鳥は
今も飛んでいるのだろうか

僕は何も要らないよ
君を抱きしめることも
深く深く想うことも
君を見つめることですら
叶わないのだから
この目も心も
すっかり枯れ果てた血も
全てあの人のために使って下さい

例え空っぽになっても

この真っ黒な傷跡が
紅い 大きな口を空けて
君をも呑み込む その前に

君が幸せであるために

もし僕が あの人よりも大きな翼で
君を包んであげられたなら
この幾千本ものチューブの中の
たった1本でも
真っ赤な血に染められて
君の指先へ
続いていたかもしれないのに
あの広い広い空へ

君を連れ出せたかもしれないのに


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